introduction
小説を書き終えてから、贈り出すまでの道具箱
原稿を書き終えたあとにも、やることは意外と残っています。文末の単調さや言葉の重なりを見直したり、投稿サイトごとに書き方の違うルビや強調記号を直したり、印刷入稿用に表紙やページ体裁を用意したり。小説エディタは、そうした「書き終えたあと」の作業に的を絞った無料のツールです。一般的な執筆ツールにはあまり見かけない機能がいくつも入っており、ここではその中でも特徴的な仕組みを紹介します。
推敲で見つけて、品詞を理解した置換でまとめて直す
原稿を読み返すと、同じ文末や言い回しが続いていたり、ある動詞の使い方をまとめて変えたくなったりすることがあります。
推敲タブでは、文末単調・表記ゆれ・ら抜き言葉・送り仮名の誤り・重ね言葉など、文章の書き方に関わる問題を項目ごとに検出できます。
上の画像は「文末単調」タブで、地の文の文末が3文以上連続している箇所を検出した結果です。ほかにも表記ゆれ・ら抜き言葉・重ね言葉など、全部で14種類の観点から機械的にチェックできます。
見つかった箇所を直すときは、検索・置換の「置換(語)」が役立ちます。「見る」を「眺める」に変えたいとき、辞書形を1つ指定するだけで、「見ている」「見た」のような活用した形も自動的に対応する形(「眺めている」「眺めた」)へ変換されます。「見上げる」のような別の動詞にまで巻き込まれることはありません。
このように活用を踏まえたうえで一括変換できるので、単なる文字列の置換では起きがちな変換漏れや誤変換を抑えながら、語彙のばらつきを直していけます。
投稿サイトごとに、記法を書き直さなくていい
同じ原稿を「小説家になろう」「カクヨム」「Pixiv」「note」など複数のサイトへ投稿しようとすると、ルビや傍点、強調の書き方(記法)がサイトによって微妙に異なり、その都度書き直すことになりがちです。
小説エディタでは、全体設定の「サイト記法」タブで、ルビ・脚注・強調(斜体)・太字・インラインコード・リンク・取消線といった要素ごとに、投稿先での扱い方を個別に設定できます。「記号だけ外してそのまま表示する」「中身ごと出力しない」「安全な別の表現に置き換える」といった扱いを、要素ごと・サイトごとに選べる仕組みです。あらかじめ主要なサイトの設定が用意されており、必要なら自分でサイトを追加することもできます。
上の画像のように、サイトを選んで記法ごとの扱いを確認・調整できます。原稿そのものは1つのままで、出力側の設定を切り替えるだけで済むので、投稿のたびに記法を手作業で直す手間が減ります。
人物や出来事を「カード」にして、盤面で見渡す
登場人物や設定、出来事が増えてくると、それぞれの関係や起きた順番を頭の中だけで把握するのが難しくなってきます。
小説エディタのカードモードでは、キャラ・組織・場所・アイテム・イベントなどをカードとして登録し、カード同士を「対立」「協力」「観察対象」のような関係線でつなげられます。作った関係は盤面上に自動で配置され、線をたどるだけで誰と誰がどうつながっているかを一目で確認できます。
「観測地点」を切り替えると、その時点までに判明している関係だけに絞り込んで表示することもできます。相関図やタイムラインを別のツールで作らなくても、本文と同じアプリの中で構成を整理し続けられるのは、書きながら設定を育てていくタイプの執筆と相性がよい仕組みです。
印刷入稿からEPUB・Wordまで、本の形に仕上げる
原稿ができたら、次は「本」としての体裁を整える作業が待っています。表紙のデザイン、目次や奥付の体裁、印刷所へ入稿するためのデータ作り、電子書籍化など、ここでもやることは多岐にわたります。
印刷モードでは、判型・綴じ方・段組みなどを設定したうえで、表紙・本扉・目次・奥付・著者紹介までを画面上でデザインしながら、実際の仕上がりに近いプレビューを確認できます。
同じ設定から、PDF・EPUB・Word文書としても書き出せます。原稿の中身と、本としての見た目を、同じアプリの中で行き来しながら詰めていけます。
ファイル1つで完結していて、自分だけの道具も足せる
小説エディタは小説エディタ.htmlという1つのファイルだけで動きます。サーバーへ原稿を送信することもなく、インストールも不要で、ダウンロードしてブラウザで開くだけで使えます。CC0(パブリックドメイン)で公開されているため、誰でも自由に使ったり配布したりできます。
ファイルが1つにまとまっているという性質を活かして、ファイルそのものをChatGPTやClaudeのようなAIに読み込ませ、使い方をそのまま質問するという使い方もできます。また、標準の機能だけで足りない作業があれば、拡張機能フレームワークを使って自分用の道具を追加したり、AIに作成を依頼したりすることもできます。